アジアの公共交通

東アジアを中心に、鉄道・バス・船舶・航空など。乗車記も。

東莞軌道交通

今回は、大都市広州と深圳に挟まれた、東莞市を走る地下鉄についてご紹介します。

広東省東莞市の東莞軌道交通は2019年現在、2号線のみが運行されています。2号線は、広深港高速鉄道と接続する虎門火車兵と、広深線と接続する東莞火車站とを約40分で結んでいます。

当記事でも、現在営業中の2号線を中心に紹介します。

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乗車券は周辺都市の地下鉄と同様、コイン状のトークンとなっています。

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3ドア6両編成の車両が使用されています。

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虎門火車站は高架駅。対向式ホームとなっており、1面が乗車用、もう1面が下車用となっています。下車用ホームから出るには、高架駅ながらさらに跨線橋を渡る必要があります。

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2号線は虎門火車站とその付近のみ高架で、他は全て地下区間です。どこか他の地下鉄路線に比べて速度が速い気がしました。

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東莞火車站に備え付けられた路線図には、開業予定路線も駅抜きで表示されていました。最終的には4路線が開業するようです。

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東莞火車站のコンコースには、中国の伝統習俗であるドラゴンボートレースの様子が描かれています。

訪問:2018年5月

落馬洲駅(MTR)

今回は、MTR東鉄線の落馬洲駅をご紹介します。

落馬洲駅は、上水駅から分岐する落馬洲支線の終点であり、中国との出入国施設に直結する駅です。

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ホームは高架上に1面2線の島式ホームとなっています。出入国施設に直結していることから、乗車客と下車客で動線が分離されており、乗車客は上層階からホームへ、下車客はホームから下層階へ移動する形となっています。

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行き止まりはホームからやや距離を置いたところにあります。行き止まりの先に見えるのは、中国・深圳の街並みです。

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ホームから階段を下りると、広めのコンコースとなります。出国審査場での滞留を防止するためでしょうか。またコンコースには、両替所もあります。

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改札を出ると、もうそこは出国審査場です。原則、落馬洲駅の外へは従来からの地元住民等の特例を除き出ることはできません。

【最後に】

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落馬洲支線は日中10-12分間隔となっています。羅湖への本線はこれより本数が多いですが、羅湖発車時点で混んでおり、中国-香港の往来の多さを実感できます。

 

訪問日:2016年8月、2017年1月

深圳西駅(中国国鉄)

今回ご紹介するのは、広東省深圳市の深圳西駅です。

深圳西駅は、広深線の平湖駅からの分岐線の終点にあり、深圳市中心部からはかなり離れた西部に位置します。主に、京広線方面の快速列車が発着します。

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乗り場は島式ホームが一つと、他の深圳市内の駅に比べて小ぢんまりとしています。尤も、他の駅に比べて発着列車も少ないのでこれでも問題ないのでしょう。また、ホームは深圳市内では珍しく低床ホームとなっています。

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ホームの他、駅構内や周辺には留置線があります。

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出口では、公安(警察)による身分証検査が行われています。2019年10月時点で、中国国鉄の駅で私がこのような検査を体験したのはここだけです。

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駅前は出迎えの人やタクシー等の客引きで賑わっています。また駅の背後には、近代的な高層ビルが多く聳えています。

深圳西駅からの交通ですが、路線バス以外駅に直接乗り入れる公共交通はなく、地下鉄だと1号線大新駅が徒歩15分程度のところにあり、乗り換えなしで羅湖まで行けます。

訪問:2017年1月、2019年3月

 

澳門のバス

2019年10月時点で、鉄道網の存在しない澳門域内での唯一の公共交通機関が路線バスです。

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澳門では、左:新福利(TCM)と右:澳巴の2社が路線バスを運行しています。運賃は、両社とも均一で6.0パタカ。香港ドルでも支払い可能ですが、香港のICカード八達通は利用できず、ICカード澳門独自の「澳門通」のみが使用できます。

バス利用時に注意することとして、バス停の案内表示が澳門公用語である中国語(広東語・文字は繁体字表記)とポルトガル語のみで英語表記が少ないことが多いことがあります。また、中国語のバス停名とポルトガル語のバス停名が大きく違う(音訳ですらない)ことが普通です。これらのことから、漢字でバス停を覚えることが無難でしょう。

 

株洲駅(中国国鉄)

今回は、湖南省株洲市の株洲駅をご紹介します。

株洲は、滬昆線と京広線、中国の大幹線が2つ交わる鉄道の要衝であり、また市内には中国有数の鉄道車両製造工場が所在し、正に鉄道の街と呼ぶにふさわしい場所です。なお、株洲駅にはこの他長株城際線が通りますが、ホームは設置されておらず全列車が通過します。

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駅舎は一昔前の、「共産圏・中国」らしさを感じさせる2階建てで、北側に切符売り場と入口が、南側に出口があります。

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手荷物検査・本人確認を済ませて駅構内に入ると、4つの待合室があります。1階の待合室はホームに、2階の待合室は跨線橋に直接繋がっています。また待合室には売店が意外と多くあります。この他、2階には、軟席(軟座・軟臥)利用者専用の待合室があります。なお、トイレは比較的衛生的です。

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各待合室共にベンチが複数列並び、各列の先端部にホームへの入口があります。これは中国の従来からの駅では一般的なつくりで、ベンチごとに改札する列車を分けられるようになっている訳ですが、そんなことは気にせずに座って構いません。

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ホームは昔ながらの低床式となっています。

 

訪問:2019年3月

上水駅(MTR)

今回ご紹介するのは、東鉄線の本線と落馬洲支線が分岐する、上水駅です。

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駅舎は橋上駅舎となっている一方で、対向式ホームに直接設置されている改札もあります。駅周辺にはショッピングモールがあり、私が初めて訪問したときには中国大陸へ戻る観光客の荷物が規定の重量・大きさの範囲内であるかチェックする駅員さんが常時改札口前に立っていました。

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先述のとおり、ホームは対向式の2面2線となっています。羅湖・落馬洲行きは同じホームから発着するため、乗車列が分けられるとともに、列の上部に先発列車の行先が表示されるモニターが設置されています。

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駅前北側にはショッピングモールがあり、その下層階にはバス停もあり、バス停からは元郎方面へ向かうバスなどが発着します。バスに乗り換えるためか、羅湖や落馬洲から上水まで1駅だけ東鉄線に乗る、という人も多くみられました。

 

訪問:2016年9月、2018年9月

 

 

中国で切符を紛失したら

今回は、自らの体験談に基づき、中国で切符を紛失した際の対応についてお話ししたいと思います。中国では、切符を紛失した場合でも最終的には二度の出費の必要がありません。

※当記事は、中国鉄道時刻研究会様 著『中国鉄道時刻表』の内容を一部参考にしています。紛失時は本当に助かりました。ありがとうございます。

1.早めに駅へ

切符の紛失に気づいたら、早めに駅へ行き、切符売り場の窓口に向かいます。私は南昌駅で予約した翌日乗車予定の列車の切符を受け取った直後に紛失してしまいまい、ホテルに到着後それに気づきました。

規則上は、乗車予定の列車の発車20分前までに行けばいいようです。

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中国の駅の窓口は何種類かありますが、「售票」(切符購入)に並べば問題ないと思われます。(写真:南昌駅の切符売り場)

2.事情を説明し、一旦再度切符購入

自分の順番になったら、駅員さんに身分証明書(旅券)を提示し、切符を紛失した旨と名前・乗車日・列車番号・乗車区間などの情報を説明します。ちなみに私は紙に「我失票」と書いて情報を伝えようとしましたが通じず、結局Google翻訳(金盾を越えられる香港SIMを利用)して意図を伝えました。幸い、駅員さんも親切な方で、翻訳アプリを使って会話してくれました。

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意図が通じ、情報が正しいことが確認されたら、一旦再度切符を購入します。この際、切符には紛失再発行の旨と、「乗車後客運記録を発行してもらって下車駅で払い戻すように」と書かれたスタンプが押されます。また切符の裏には、切符を紛失した際の流れが書かれた付箋状の紙(勿論中国語)を貼ってもらいました。

3.列車長弁公室へ

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※写真は切符を紛失した際に乗った列車のものではありません

再発行した切符にて通常通り列車に乗車したら、「列車長弁公室」へ向かいます。列車長弁公室はいわゆる車掌室ですが、カウンター状になっており、常時切符の種類・区間の変更や案内を受け付けています。客車列車だと、硬座車の客室内に設置されています。

列車長弁公室では再発行した切符を提示します。この際、規則上は切符にもスタンプで記された「客運記録」と呼ばれる列車から駅への引き継ぎ書を書いてもらい、それを携えて下車駅で切符の払い戻しをしてもらう訳ですが、切符の紛失については、乗務員さんが端末(スマートフォン)で下車駅に連絡するだけでした。

4.払い戻し

下車駅に到着したら、駅を出て窓口へ向かいます。今度は「退票」(払い戻し)窓口に並ぶと確実と思われますが、株洲駅では何故か一度並びなおしさせられましたので、場合によっては駅員さんの指示に従ってください。

窓口では切符と身分証明書を差し出せば、すぐに払い戻し・返金となります。これにて一件落着です。

5.最後に

もし切符を紛失してしまった場合でも、中国の切符は購入時に身分証明書の番号を登録するために、最終的には負担ゼロで済むシステムになっています。

必要なのは、中国旅行全体に言えることですが、筆談等を駆使して求められる情報を伝えることと、踏むべきステップを踏むことです。

 

※この記事は2019年3月の体験談をもとにしています。規則・制度に変更が生じている可能性がありますので旅行時は最新の情報をご確認ください。